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ばら海苔、焼海苔、乾海苔、生海苔…栄養満点「海苔」の美味しさにせまる

海苔は、世界が驚く日本を代表する乾物です。世界一薄い紙のような食品ながら、焼海苔1枚に三大うま味成分がつまっていて、グルタミン酸は昆布以上、グアニル酸は干し椎茸に匹敵するほど。山と海の栄養をたっぷり吸って太陽を浴び、光合成をして育った海苔は、良質なたんぱく質や葉酸も含む優秀な栄養食品なのです。海苔は、育った産地や海の環境、収穫時期や水温によって味わいや口どけがちがうため、ワインのように楽しめる食材でもあるのです。乾物と海苔天国の東京日本橋から、「海苔」のおいしさの秘密とおすすめレシピをお届けします。

目 次

海苔とは? 海苔は海の植物「海藻」の仲間

海苔の語源は「ヌラヌラ」|海苔は海で育つ植物「海藻類」

そもそも海苔とは何でしょうか。「海苔(ノリ)」は形容詞の「ヌラヌラした」からノリという名詞になったもので、「ヌラ」や「ヌリ」から転じたと伝わっています。海でヌラヌラと育った海苔は、海藻類に分類される植物です。海の岩場に自生している天然の海苔を「岩海苔」といい、黒くて薄い紙状に加工されて市販されている海苔は、海藻類の紅藻植物類アマノリ科に属する数種の海藻を、波の静かな海で養殖して採集し、加工・乾燥させたものです。
日本の海苔と「韓国のり」の食感と味が違うのは、原料となる海苔の種類の違いで、韓国のりは「岩海苔」を原料としています。日本では現在ほとんどの海苔が「すさび海苔(スサビノリ)」を原料としていて、年間約80~100億枚の海苔が生産されています。
もともと江戸湾や千葉ではアマノリ科の「浅草海苔(アサクサノリ)」が養殖の主流でしたが、高度経済成長時の乱開発や埋め立てで浅草海苔は激減。より丈夫で育てやすいすさび海苔が主流になり、現在、浅草海苔はごく一部の産地だけで養殖されている幻の高級海苔といわれています。

日本で海苔の原料となる海藻 4種

  • 浅草海苔(アサクサノリ)※レッドリストで絶滅危惧種に指定
  • すさび海苔(スサビノリ)
  • 奈良輪すさび海苔(ナラワスサビノリ)
  • 十六島海苔(ウップルイノリ) ※岩海苔

参考:アマノリの学名と分類 一般財団法人 海苔増殖振興会

海の植物「海草類」と「海藻類」の違いって?

海で育つ植物の中でも、ワカメのように種子で繁殖するものは「海草」と呼ばれますが、「海藻」は胞子で繁殖します。海苔の胞子は春に生まれ、海水が冷たくなる秋冬に成長するため、11月下旬から2月にかけて旬を迎えます。収獲期は冬の4ヶ月で、翌春、次世代の胞子を残して一年で一生を終えます。
参考:海苔の一生 全国海苔貝類漁業組合連合会

海藻豆知識 光合成色素のちがいで海藻いろいろ

日本は100種類以上の海藻を食用している海洋王国です(農林水産省調べ)。陸で生きる植物の葉は多くが緑色で、太陽の光を緑色のクロロフィルという葉緑素で光合成して育ちます。海藻は、暗い海の中で光合成をする植物なので、わずかな太陽の光をキャッチするために特殊な光合成色素をもっています。これは海中の植物だけが持つカラフルな色素で、育つ環境による色の違いから、海藻は3つのグループに分けられています。

紅藻類水深が深い海域で育つものはおもに赤色の植物。
浅瀬や干潟で育つものは緑色、黄褐色、黒色に近い。海苔類、テングサ、フノリなど。
緑藻類緑色の植物。淡水産と海水産があり「アオサ藻類」とも呼ばれる。
アオサ類、アオノリ類、ヒトエグサ類、海ぶどうなど。
褐藻類黄色や褐色の植物。
ばんばのり(ばばのり、島海苔)、昆布、ワカメ、もずく、あかもく、メカブ、ヒジキなど。
海藻の種類
焼海苔(左)と板海苔(右)。海苔は火を入れると光合成色素が変化して緑色になります。

栄養豊富な養殖の海苔|天然に近い環境で育てられる

貝殻を栄養に生育する海苔の胞子

海の中で帆立貝が海草にひっついて生育していくように、海苔の胞子は牡蠣などの貝殻の中にひっついて貝の石灰を栄養にして苗に育っていきます。
養殖の海苔も、天然の海苔とほぼ同じように育てられています。春に生まれた海苔の胞子(海苔種)は牡蠣や帆立貝に入れて種付けされ、貝の石灰を栄養に発芽し、ゆっくりと苗に生育していきます。海苔の成長期は海水が冷たくなる冬なので、海苔の苗は養殖網にくっつけられて網ごと冷凍保存されます。
やがて水温が23度以下になる10月中旬ごろになると、波の静かな海や干潟に10m前後の支柱を立てて養殖網を張り、水深の深い海の場合は海面に養殖網を浮き流して養殖が始まります。山の栄養を運ぶ河川がたくさん流れ込む干潟の海は、真水と海水が混ざり合い、海苔を始め貝類の成長やワカメなどの養殖にとって最適な環境なのです。

海苔のうま味は干潮と満潮の繰り返しで育つ

海苔はほかの海藻よりも群を抜いてうま味が多く、味のいい海苔ほど、うま味成分のアミノ酸や核酸、有機酸などを多く含んでいます。海苔のアミノ酸含有量は、海苔が光にあたっている時間が長いほどに多くなるので、海苔の成長には、潮の満ち引きによる海面の環境変化がとても重要になってきます。

干潮時は海苔に太陽の光をたっぷり浴びさせ、光合成させて芽を強く育て、満潮時には海水につけて海苔に海の栄養分やミネラル分をたっぷり吸収させます。潮の満ち引きに合わせて網の高さと張り方を調整し、日々調整を繰り返すことでうま味の凝縮した香り高い海苔に育てていくのです。海苔や乾物の美味しさは、人の手によって、手塩にかけて育てられた美味しさともいえるでしょう。

乾海苔10枚約33g(1 枚3g)には1,330mg のアミノ酸が入っていて、アミノ酸のなかでもグルタミン酸、アスパラギン酸、 タウリンが多く含まれています。

海苔の栄養って?海苔は栄養満点、ビタミンとミネラルの宝庫

海苔は海と山の栄養をたっぷり吸って育つので、さまざまな栄養素があることから「海の緑黄色野菜」とよばれています。魚介類に含まれるEPA、脂肪、炭水化物、灰分など、40種類近い成分をバランスよく含み、ビタミンCは野菜より多く、陸上植物にほとんどないビタミンB12も。「造血のビタミン」といわれる葉酸は、板海苔1枚(3g)に57μgと、納豆1パック分(40g中48μg)以上が含まれています。

海苔にはヨウ素、鉄、カルシウムなどの必須ミネラルも多く、血液をアルカリ性にする力があります。昆布にも多く含まれているヨウ素は、胎児や乳幼児の発育に欠かせない必須ミネラルで、甲状腺ホルモンの基礎代謝に関わっている「健康のミネラル」です。
海苔は梅干しと一緒に摂取すると疲労回復に、魚や貝類と一緒に摂取すると葉酸の効果が高まるので、「梅茶漬け」や「梅干しと海苔のおにぎり」、「焼き鮭と海苔のおにぎり」などはとても理にかなった食べ方といえるでしょう。何より、うま味が相乗効果を発揮する組み合わせなので、一緒に食べるだけでさらにおいしくなる、おすすめの食い合わせです。

梅しそ刻み海苔パスタ。茹でたてのパスタにチューブ梅を混ぜて刻み海苔を乗せるだけの早わざメニュー。刻んだ青じそを加えるとスッキリ感が増し、食欲のない蒸し暑い日にもおすすめ。

海苔の旬は冬の4ヶ月、収獲された「生海苔」は板海苔や佃煮の材料に

海苔が収穫期を迎えるのは、水温が11度を切る11月下旬ごろ。太陽が昇る夜明け前の海で、海苔が光合成を始める前に摘み取られ、水揚げされます。この海で摘み取られた採れたての海苔が「生海苔」です。海から採れた「生海苔」は、生き物なので鮮度が命。水揚げされるとすぐに海苔加工場へと運ばれます。
生海苔は「海のお刺身」ともいわれ、市場に出回る機会は少なく、おもに乾燥海苔や佃煮などの原料となります。生海苔を乾燥させたものが「ばら海苔」、生海苔を刻んで水に放ち、形成して乾燥させたものが「板海苔・いたのり(乾海苔・ほしのり)」、板海苔を高温で焼いて乾燥させたものが「焼海苔・やきのり」、焼海苔を細かくもんだものが「もみのり」、刻んだものが「刻み海苔」です。

「生海苔の佃煮」は東京日本橋でも購入可能です。
  生海苔をつかったおすすめの佃煮
  遠忠商店 江戸前生のり 140g
  遠忠商店 須磨一番摘み生のり佃煮 85g
  

海苔の「初摘み」「一番積み」とは?新海苔は栄養満点、食物繊維も豊富

海苔は、食感や口溶けも味わいのひとつです。海苔の3分の1は食物繊維で、海苔の食感はこの食物繊維成分の比率でちがってきます。海苔は収獲したあとも養殖網に残した根本から海苔芽が次々と伸びてくるので、数週間ごとに同じ網から数回収穫できますが、新芽が一番柔らかく、収獲を重ねるにつれてだんだん固くなっていきます。
養殖網からいちばん最初に摘んだ新芽を「初摘み」「一番摘み」といい、初摘み海苔には新芽ならではのやわらかさと香り、栄養がつまっているのが特徴です。各産地でシーズンの最初に摘み取られた海苔は、新茶や新米と同じく「新海苔」ともよばれます。

世界では多くの人種に生海苔を消化する酵素がないといわれていますが、乾燥させた加工海苔や焼海苔はむしろ消化に良く、海苔好きは便秘知らず、ともいわれています。海苔は腸活向きの食材ともいえるでしょう。

初摘み海苔は海苔の新芽なのでやわらかくて栄養が詰まっています。

海苔の味の違い 産地による海苔の特徴って?

海苔は、育った環境や水温などで、味わいも香りも歯ざわりもまったく違ったものになる嗜好品です。産地の差もありますが、収穫時期の違いも大きく、「鳴門のワカメ」といっても、養殖されているエ環境と育てられ方で歯ざわりや味わいがまったく違うように、海苔も同じく「同じ味の海苔はない」のです。
海苔の養殖には温暖な太平洋側が向き、北は北海道のサロマ湖・厚岸湾、南は鹿児島県の出水と、全国で養殖されています。

なかでも日本一の干潟を誇る有明海の佐賀は、国産海苔の約4割(200億円規模)が養殖されている海苔の大産地です。佐賀有明の海苔は、とくにうま味が強くてやわらかく、品のある高級海苔とされています。
瀬戸内海では国産海苔の約3割が養殖されていて、中国四国から兵庫、大阪と瀬戸内海を囲む広いエリアで海苔が生産されています。もっとも普及しているわかりやすい海苔で、コンビニのおにぎりなどに使われている、肉厚で丈夫なパリッとした歯ごたえが特徴です。
千葉の海苔は東京湾で育ち、香りたかくて歯切れがよいのが特徴です。
伊勢湾や三河湾の海苔はバランスが良くて味わいが深いといわれています。またこのあたりの海ではアオサの養殖も盛んで、5月から11月の間はアオサが収獲されています。海苔の収獲が始まりアオサの旬がおわる11月のほんの一時だけ、アオサのまざった海苔が収穫されます。このアオサ入りの海苔でできた板海苔は「混(こん)」「青混」「青とび」などといわれる通好みの海苔で、独特の強い磯の香りが特徴です。

参考:全国漁連のり事業推進協議会(略称:のり推進協)

取材や旅先での経験上、海苔の生産地といわれるところは「何を食べても美味しいところ」という印象があります。佐賀も瀬戸内も大変豊かな食に恵まれていて、海はもちろん、山も、田んぼも畑も空も、何もかもが美しい印象でした。食材の宝庫とよばれるところは、ああ日本って素晴らしい…と感じるところでもあるようです。

海苔の見分け方、ばら干し海苔、板海苔、焼海苔、海苔の種類いろいろ

ばら干し海苔|お出汁で簡単!本格的な味噌汁

「海苔」といっても加工方法や形状によって様々な種類があります。築地場外市場と日本橋海苔店で、海苔を購入しながらいろいろと教えていただきました。

「ばら干し海苔」は、摘み取った生海苔をそのまま乾燥させたもので、「ばら海苔」「黒ばら海苔」ともいわれ、磯の風味やうま味を強く感じる海苔です。ばら干し海苔を焼いて乾燥させたものが「ばら干し焼海苔」で、こちらも香り高く、奥深い味わい。どちらも、超手軽に料理に使えてすぐに味が決まる、実に優れもののうま味食材です。

ばら海苔の味噌汁

「お寿司屋さんの赤だしが簡単に作れるよ」と教わって作ってみたら、本当に簡単すぎるのに、たまらなく風味のいい赤だしができて、感動ものでした。冷蔵庫で水出ししたいりこ出汁を温め、赤味噌を溶いてばら干し海苔をひとつかみ入れるだけ。ばら干し海苔は、多いかな?と思うぐらいの量を入れるほど、海苔のうま味を楽しめます。ばら干し海苔でも、ばら干し焼海苔でも、どちらも違う味わいを楽しめてリピートしています。

信じられないほどおいしい簡単ばら海苔の赤だし レシピなしレシピ


「板海苔」は、摘み取った生海苔を細かく刻んで水に放ち、和紙を漉くように四角く形成し、水分を飛ばして乾燥させたもの。「乾海苔(ほしのり)」ともよばれ、ほとんどの海苔は産地からこの状態で出荷されています。火を入れていないので黒くてやわらかく、お寿司屋さんでは巻きずしに使われている海苔です。どちらかというと食のプロ向けの海苔なので、スーパーの海苔売場に並んでいることはなく、海苔の専門店で購入することができます。食べる前に炙ってパリッとさせていただきます。
この「板海苔」を焼いて乾燥させたものが「焼海苔」です。板海苔と焼海苔を食べ比べてみると、色や風味のちがいがわかって発見がありました。ふんわり巻いて食材になじませていただきたいものは板海苔、パリッと包んでいただきたい主役海苔には焼海苔と、使い分けています。

ばら干し海苔(左)と板海苔(右)
焼海苔(左)と板海苔(右)


なお、海苔が現在のような四角い形になったのは、海苔巻きが大流行した江戸時代のこと。いまでは板海苔1枚のサイズはタテ21cm×ヨコ19cmにほぼ統一されていて、この1枚のサイズの海苔を「全型」といいます。もみ海苔、刻み海苔は板海苔や焼海苔をもんでちぎった、または刻んだ形状にしたもので、サラダやパスタ、焼き魚と、より手軽に料理に使えて味がふるだけで決まります。

もみのりのバタートースト。バタートーストにふりかけて。

「味付海苔」は焼海苔の表面に味をつけて乾燥させた海苔で、味付海苔は明治2年(1869年)に東京日本橋の山本海苔店で誕生しました。湿気が大敵の海苔に、水分の醤油やみりんで味をつけ、乾燥した状態を保たせた「味付海苔」は、東京日本橋生まれの発明品なのです。

  • 生海苔:海から摘み取った生の海苔。佃煮や加工海苔の原料。
  • ばら海苔:生海苔をそのまま乾燥させたもの。お寿司屋さんの赤だしの具。
  • 焼きばら海苔:ばら海苔を焼いたもの。お寿司屋さんの赤だしの具。
  • 板海苔:生海苔を刻んで水に放ち、板状に漉いて乾燥させたもの。乾海苔(ほしのり)、乾燥海苔とも呼ばれている
  • 焼海苔:乾燥海苔を高温で焼き上げたもの
  • 味付海苔:焼き海苔に味付けをしたもの
  • すじ青のり:川の河口などでとれる糸状の緑藻類「スジアオノリ」を乾燥させたもの ※高級品
  • 青のり:「ウスバアオノリ」を乾燥させて粉砕したもの
  • 青さのり:緑藻類の「アオサ目‐ヒトエグサ科‐ヒトエグサ属」のヒトエグサを乾燥させたもの。沖縄ではアーサー。
      海苔の佃煮の原料
  • アオサ:緑藻類の「アオサ科‐アオサ属」のアオサを乾燥させたもの。
(左)採れたての生海苔をそのまま乾燥させた「ばら海苔」(右)細い糸上の「すじ青のり」
(左)アオサ (右)スジアオノリ アオノリとくくられがちですが、まったく別ものです。

海苔の等級:人と同じく海苔も「まずは見た目重視」

海苔のプロにいろいろと教わりながら、海苔を買っては食べて実感しているのは、「海苔の味は値段に比例する」ということ。海苔の専門店でそこそこの値段の海苔を買っていれば間違いなく美味しい海苔に出会えます。
一般的に、海苔は黒く光った海苔ほど等級が高いとされています。穴やヤブレなど、こまごまといろいろな等級がありますが、これは全国的に統一された規格というわけではなく、メーカーやブランドなどによって独自の基準が設けられているのだとか。
いくつかの海苔の専門店で尋ねたところ、等級とは「あくまで見た目だけの話で、味は別もの」ということでした。格上のものを買うための等級、というより、本来高級な海苔を格安に買えるのでおすすめです。家庭でいただく海苔なら、穴やヤブレがあるだけの高級海苔はかなりお値打ちなのです。

海苔の等級

  • 「穴 等 級」  小さな穴の空いているもの
  • 「ヤブレ等級」  端が欠けているもの
  • 「別ヤブレ等級」 海苔を漉いたときの穴があるもの
  • 「青混ぜ」「混」 青海苔が混ざった海苔。磯の香りが高い
  • 「青飛び」    青海苔が混ざった海苔でも青海苔が少ないもの

海苔「1帖」って海苔何枚?|海苔のサイズと海苔の単位

板海苔、焼海苔の基本となる大きさを「全形」といい、全形のサイズは、基本ほぼタテ21cm×ヨコ19cmに統一されています。いまやなんでも1パックの時代ですが、海苔を数える単位には本来「帖」をつかい、全型の海苔10枚が1袋で「1帖」、20枚なら「2帖」となります。「帖」は薄いものを数える単位です。

全型タテ21cm×ヨコ19cm
半切(はんさい・2切)全型の半分。手巻き寿司用。タテ10cm×ヨコ19cm
3切(さんさい)全型を縦または横に3分割したサイズ。おもにおにぎり用。タテ6.6cm×ヨコ19cm
4切(よんさい)全型を縦または横に4分割にしたサイズ。タテ5cm×ヨコ19cm
6切(ろくさい)全型の6分の1、軍艦寿司用
8切(はっさい・大判)全型の8分の1、おかず用の一般的によく見るサイズ。大判と呼ばれ、旅館やホテルの朝食にある缶入海苔や味付海苔のサイズ
10切(じゅっさい)全型の10分の1。家庭用で売られている味付のりのサイズ。
12切(じゅうにさい)全型の12分の1(フィルムに5枚ずつ個包装された旅館やホテルの朝食のり)。

ほかにも、「帯海苔」と呼ばれるにぎり寿司の帯や玉子バンドに使う20切、十字4切、十字6切、十字8切などがあります。
きざみのりは平均「2mm幅」で、より細い「1mm幅」、太い「3mm幅」などが商品化されています。


パリパリ海苔を楽しむコツと海苔のおすすめレシピ

海苔に湿気は大敵!「パリッ」食感こそ海苔の命

海苔は、高温多湿な日本の名物ですが、湿気と高温が大の苦手です。海苔には塩分があるため吸湿性が高く、いちど湿気ると食感も風味もなくなってしまうので、必ず密閉した袋や缶に入れて保存します。ポリやビニール製の袋は酸素を通すため、海苔保存用の専用アルミ袋が海苔店で売られています。食べる分だけをその都度とりだして、袋の空気を抜きながらきっちりフタをして保存します。小袋に入った海苔は、残さずに食べ切りましょう。

未開封の海苔や長期の保存にも「冷凍保存」が最適です。海苔店のみなさまによると、ばらのりや青海苔も「冷凍保存」がおすすめでした。とくにスジアオノリやアオサなどは、冷凍保存にすると、緑色の色素が抜けていくのを防ぐ効果があります。

海苔はなぜあぶると美味しくなるの?

板海苔も焼海苔も、「食べる直前にあぶる」ことで、格段に香りが増し、おいしい状態になります。これは、海苔に熱を加えることで、香りやうま味の成分が細胞の外に出るためです。火を入れると海苔が緑色になるのは、赤、青、黄色の色素がこわれて葉緑素だけが残るためです。
焼きたての海苔の香りは「焼き立て」だけのものなので、海苔をあぶるなら食べる直前がおすすめです。

海苔や鰹節の素晴らしいところは、なんといっても振りかけるだけで味が決まり、うま味をしっかりと感じることができることです。手間ひまかけたごちそうレシピもいいのですが、簡単なのにうそみたいに美味しい、うま味を感じる海苔の「レシピなしレシピ」をご紹介します。

揉み海苔、刻み海苔、焼海苔のおすすめメニュー

アジともみ海苔のチーズパン粉焼き

3枚おろしのアジに揉み海苔と片栗粉をまぶし、耐熱皿に入れてパン粉と粉チーズを押し付けるようにのせ、オリーブオイルを回しかけてオーブンで色づくまで焼きます。仕上げにも揉み海苔をぜひ。

焼海苔わさびチーズ

スライスチーズにチューブわさびを塗り、炙った焼き海苔ではさみます。チーズは厚めのものがおすすめ。

もみ海苔の卵焼き

卵焼きやだし巻き卵の卵液に、揉み海苔を混ぜて焼くだけ。しらすや刻んだしその葉を加えるとさらにごちそうに。お酒のおつまみにもおすすめです。

もみ海苔と鰹節のポテトサラダ

ポテトサラダにスライスしたキュウリと鰹節、揉み海苔を加えてまぜ、お皿にこんもり盛り付けて揉み海苔をトッピング。お刺身や焼き魚にもよく合います。スーパーやコンビニで買ってきたポテトサラダのアレンジにも。

もみ海苔バタートースト

パンにバターを塗って揉み海苔をのせてトーストします。トーストにバターを塗って揉み海苔を乗せても。

しらすときざみ海苔のわさびバターパスタ

茹でたてのパスタにバターひとかけとチューブわさびをたっぷりしぼり出し、しらすを加えてよくまぜ、お皿に盛り付けて刻み海苔をたっぷりトッピングします。

ホタテ貝柱のもみ海苔和え

カブとキュウリをスライスして手でしぼり、帆立の貝柱とあわせて盛り付け、もみのりをのせていただいきます。

山芋ときゅうりのピリ辛海苔巻

ボウルにごま油と四川豆板醤をよくあわせ混ぜ、そこに棒状にカットした山芋とキュウリをいれて和え、あぶった焼海苔で巻いていただきます。

まとめ

東京日本橋にはさまざまな食材の専門店があり、「食のプロ」が選んだおすすめの食品を手軽に購入することができます。数年前、日本橋人形町で海苔店のセールに通りかかり、いろいろな焼海苔をまとめ買いして以来、すっかり海苔の魅力にはまり、食べ比べを楽しむようになりました。築地で教わった「ばら海苔」はじめ、日々海苔をむしゃむしゃといただいているうちに、海苔の魅力を伝えたくてまとめてみました。
海苔もワカメも、味と値段は比例します。間違いなく比例します。ビジネスホテルや旅館の朝食に出てくる小袋入りの海苔で感動することはありませんが、あれはいわゆる海苔とは別ものです。安物に手を出さず、目利きがセレクトしておすすめしてくれる専門店の海苔を選んで、海苔本来の美味しさや味わいを知る楽しみはいかがでしょうか。