ソースを使う料理は、お好み焼き以外にも色々あります。ご飯にソースをかけた「ソーライス」やお好み焼き風の焼き飯「お好み焼き飯」、「ソース焼きそば」「ソースカツ丼」「串カツ」「トンカツ」など、多くの人に親しまれているソースを使った料理をご紹介させていただきます。そして中濃ソースとケチャップの味つけだけで「日本の洋食」になるのです。
目 次
究極のソース料理・ソーライスは、白いご飯にウスターソースをかけるだけ。ごくごくシンプルなソース料理で、貧しかった時代のお助け飯でした。ソーライスの発祥は昭和金融恐慌時代の大阪の阪急百貨店の大食堂と言われています。昭和4年に開業した当初はライスカレーが人気メニューで、ライスカレーにウスターソースをかけて食べるのが流行っていました。その翌年から日本中が大不況のドン底に叩き込まれると、苦境に陥っている客は安上がりなライスのみを注文し、それにソースをかけて食べていた、というものです。
お家でそんな食べ方をすると「お行儀が悪い」と叱られそうですが、日本にやってくる外国の観光客を見ていると、ご飯にソースや醤油をかけて食べる姿を見かけます。外国の人からすると米は主食ではなく副菜で、ごはんには「味がない」ので「ソーライス」にして食べるのだとか。
ソーライスをお好み焼き風にしたもオリジナルソース料理です。ソーライスの進化系ズボラ飯です。ご飯にウスターソースをかけるのところは同じですが、さらに、マヨネーズ、天かす、紅しょうが、青のり、かつお節を振りかけて完成です。お好み焼きのトッピングを施した、お好み焼きのご飯版。肉ナシで焼かないお好み焼き飯のお手軽版といったところです。
お好み焼き飯は、その名の通りご飯で作るお好み焼き風の焼き飯です。醤油味や中華ダシ味、オイスターソース味の焼き飯もありますが、ソース味の焼き飯は関西に多い味付けだと言われています。作り方は店や家庭によってそれぞれですが、刻んだ野菜とミンチ肉、紅しょうが、天かす、ご飯、卵を炒めて、ソースで味付けます。器に持って、青のりとかつお節をかければ出来上がり。お好み焼きのキャベツと小麦粉をご飯に代えたような焼き飯です。
屋台料理の定番、ソース焼きそば(焼きうどん)は、キャベツや玉ねぎ、ニンジン、モヤシ、ピーマンなどの野菜と、豚肉やイカなどの具材と中華麺を炒めてソースで味を付けるポピュラーなソース料理です。
簡単に作れて美味しく、そこそこ腹持ちも良い人気料理です。お好み焼き屋さんや鉄板焼店のメニューの一つでもあり、縁日の屋台やビアガーデン、フードコート、文化祭の模擬店、海の家などイベントの場にも登場します。
ソース味がポピュラーですが、醤油味、塩味、ケチャップ味、カレー味ほか、街おこしのB級グルメとしても、いろんなご当地焼きそばが地元の特産品に絡めて趣向を凝らしています。焼きそばの麺をうどんにすれば『焼きうどん』と呼ばれます。
おすすめレシピ:ブルドック おうちで本格焼そば|ブルドック 本格焼そばソース|ブルドックソース株式会社 (bulldog.co.jp)
おすすめレシピ:ソース焼うどん|ブルドック ウスターソース|ブルドックソース株式会社 (bulldog.co.jp)
そばめしは神戸発祥のB級グルメの一つですが、複数のメーカーが冷凍食品として商品化しているほど全国的にも知られています。神戸で「焼きそば」と言えば中国料理の「炒麺」を指すので、神戸では焼きそばを「そば焼き」と言います。そばめしの作り方はソース焼きそばとほぼ同じで、「そば焼き」とご飯を一緒に炒めつつ、麺をコテで短く刻みます。
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カツサンドは「サンドイッチの王様」とも呼ぶべき、ソースを使った定番の人気サンドイッチです。手順の違いで、ソースを塗ったパンにとんかつと千切りキャベツを挟むタイプと、ソースを塗ったとんかつと千切りキャベツをパンで挟むタイプがあります。
バリエーションとして「チキンカツサンド」や「メンチ(ミンチ)カツサンド」「ハムカツサンド」などがあります。また、「肉と言えば牛肉」という関西では、牛ヒレ肉を使ったカツサンドも人気です。
ソースかつ丼は、卵と出汁でとじたかつ丼とは一線を画するソースをまとわせたカツ丼です。岩手、福島、群馬、山梨、長野、福井などがご当地料理としています。
ウスターソースまたはウスターソースベースのタレを漬けた肉を揚げたものや、揚げたあとにソースをくぐらせたもの、プレーンのカツにソースをかけるものなど様々で、ご飯にカツをダイレクトに乗せるタイプと、ご飯に千切りキャベツを敷いてカツを乗せるタイプがあります。
おすすめレシピ:ソースかつ丼|ブルドック ウスターソース|レシピ|ブルドックソース株式会社 (bulldog.co.jp)
ソースかつ丼(ブルドックソース)
「カツ丼」と言えば、豚かつを甘辛の和風味で卵とじにしたものを連想する人が多いでしょうが、ソースカツ丼をご当地料理としている地域では「カツ丼=ソースカツ丼」が普通です。
長野県駒ヶ根市もその一つです。当地には昔、カゴメのトマト加工場があり、ご当地ソースを作るソース加工場がありました。ソースカツ丼は昭和初期から親しまれているというご当地料理です。
「駒ヶ根ソースかつ丼の会」の規定では「器は丼に限定する」としていますが、駒ヶ根で人気の「明治亭」がデパートの催事でテイクアウト用のソースかつ丼を販売していました。明治亭のソースかつ丼は、衣にたっぷりとソースが染みていますが、ベタ辛くなくマイルドで、さっぱりとした軽い味わいでした。キャベツとの相性も抜群のお弁当型ソースかつ丼です。
ちゃんぽんと並ぶ長崎名物の麺料理が皿うどんです。皿うどんをソース料理とくくるのは難しいところですが、刺し身に醤油、鰻に山椒、トーストにバターのように、皿うどんにはウスターソースが必須の調味料なのです。
長崎県外の人には皿うどんとソースが結びつかないかも知れませんが、ご当地では至極当たり前。お店の皿うどんは、揚げたパリパリ麺に野菜や肉、魚介たっぷりの餡をかけて供されます。餡は独自のスープで味は付いていますが、さらにソースをかけて食べる、または途中でソースをかけて「味変」させるのが長崎流。お店の卓上調味料にはウスターソースが常備されているほか、全国チェーンのリンガーハットには「皿うどん用」とした専用のウスターソースが置かれています。
とんかつは料理名を冠した「とんかつソース」があるほど、ソースとの相性が良い日本を代表する洋食のソース料理です。
スジを切った厚切りスライスの豚ロース肉に塩とコショウを振り、小麦粉をまぶして卵液をくぐらせパン粉をまとわせて揚げます。付け合せには千切りキャベツがデフォルト。とんかつソースのほか、好みで練りからしを添えます。
おすすめレシピ:とんかつ|ブルドック とんかつソース|ブルドックソース株式会社 (bulldog.co.jp)
ちなみに、とんかつの牛肉タイプのビフカツ(ビーフカツ、ビーフカツレツ)は、なぜか市販のソースではなくデミグラスソースで食べる場合が多く、近年流行した牛カツは薄めの衣でレアに揚げ、ソースは使わず醤油や塩、わさびでいただきます。
メンチカツ(ミンチカツ)は、挽き肉をハンバーグのように成形してパン粉を付けて揚げソースで食べる料理です。諸説ありますが、明治の中ごろに発祥と言われる東京で「ミンスミートカツレツ」として登場したのが、その後「ミンス」と呼ばれ、さらに「メンチ」と転じて広まったと言われます。
関西圏では挽き肉を「ミンチ」と呼ぶことから、そのままに「ミンチカツ」と呼びます。関東のメンチカツが牛と豚の合挽きなのに対し、関西のミンチカツは牛ミンチを使います。
おすすめレシピ:メンチカツ|ブルドック とんかつソース|レシピ|ブルドックソース株式会社 (bulldog.co.jp)
いずれも、ひき肉に塩・胡椒・ナツメグを振り、炒めたみじん切りの玉ねぎ、卵、パン粉を加えて混ぜ込み小判型に成形しますます。その後はとんかつの要領で、小麦粉、溶き卵、パン粉をまとわせカラッと揚げます。ソースはウスターでも濃厚でも好みで選びますが、お店ではウスターソースが多いように思います。
酒の肴にもってこいのレバカツ(レバーカツ)は、お肉屋さんの店頭や惣菜店などでも見かけるソースを使った大衆的なおつまみ料理です。材料のレバーは豚か牛ですが、鶏レバーのバージョンも見受けます。
おすすめレシピ:レバカツ | ズバうま!おつまみレシピ | アサヒビール (asahibeer.co.jp)
薄くスライスしたレバーをウスターソースなどに漬け込んで下味をつけ、小麦粉や溶き卵、パン粉をまぶしてフライに揚げます。さらにウスターソースをかけたり辛子を塗っていただきます。
トンテキは三重県四日市発祥のご当地料理ですが、全国の洋食屋さんで独自に進化して広がっています。とんかつ用のロース肉のスジに切り込みを入れ、グローブ状になるようにしておきます。それに塩、コショウの下味を付け小麦粉をまとわせソテーします。火が通ったら、ソース、醤油、酒、みりん、砂糖を合わせたタレをかけながら煮詰めればでき上がり。
にんにくを使うのが「決まり」で、一緒に焼き煮るかフライドガーリックをトッピングするなどします。
おすすめレシピ:四日市名物【とんてき】 (tonteki.com)
大阪の庶民の味で「二度漬けお断り」として知られる串カツ。卓上の容器に満たされたソースに、串カツをチャポンとくぐらせて食べる独特の食べ方でも有名です。このソースはウスターソスを水で割ったものでシャブシャブです。串カツはもちろん、お通しで出されるざく切りの生キャベツもこのソースに漬けてていただきます。
見知らぬ客同士が共用するので食べかけを再び漬ける「二度漬け」はマナー違反ですが、これを知らない客のために「二度漬けお断り」と張り紙をしてあるのがネタとして広まり全国区になりました。
最近は衛生面での配慮からバットのソースを無くして卓上ソースにしたり、全国展開するチェーン店では客個々に「マイバット」のソースで「二度漬けOK」のお店もあります。
串に刺した牛肉に衣を付けて揚げる「牛串」(串カツ)が基本で、他に玉ねぎ、ピーマン、豚肉、紅しょうが、牡蠣、ししゃも、アスパラ、レンコンなどなど具材はバラエティーに富んでいます。
東京では同様の料理を『串揚げ』としていますが、大阪の大衆的な店とは違い、コースで供する高級店が多いです。また、大阪の『串カツ』はソースで食べるのが基本ですが、『串揚げ』は塩や醤油だれ、ポン酢、味噌だれなどが多く、ソース料理とは別路線です。
大阪名物で庶民の味タコ焼きは、お好み焼きと並ぶコナモンソース料理の代表格。大阪の下町の味として知名度バツグンの人気ソース料理です。元は出汁で食べる明石焼き(玉子焼き)やすじ肉やコンニャクが入ったラジオ焼きがルーツと言われ、戦後にタコとソースの組み合わせがヒットして大阪庶民のおやつとして定着しました。
専用の凹んだ鉄板に油を引き、卵と出汁で溶いた小麦粉の生地を流し込みます。そこへ刻んだタコを入れ、魚粉、天かす、紅しょうが、青ネギを振りかけ、丸く成形しながら焼いていきます。
仕上げにソースを塗り、好みでマヨネーズ、青海苔、花かつおをかけ、楊枝で食べます。生地は緩く小麦粉1に対し出汁が4ほどの割合で、外がカリッと中がトロッの「カリトロ」に焼き上げます。
もんじゃ焼きは鉄板で焼くコナモン料理で、東京の下町の味として人気です。基本的な材料はキャベツと小麦粉なのでお好み焼きと同じですが、お好み焼きが小麦粉1に出汁が1.5ぐらいの割合のところ、もんじゃ焼きは小麦粉1に出汁が10ほどの割合でシャバシャバです。生地が緩くてテイクアウトが出来ず、お店や家で作りながらいただきます。
刻んだキャベツにモヤシ、天かす、桜えび、えびせんなどを鉄板に広げ、コテで刻みながら炒めます。ある程度炒めたらドーナツ型に広げて「土手」を作り、その中に出汁で溶いた小麦粉、ウスターソースを加えた生地を流し込み、生地が煮立ったら土手を崩しながら混ぜ合わせ、ヘラで押し付けて焼きながらいただきます。
具材は、たらこや明太子、キムチ、駄菓子ラーメン、餅、麺、チーズなど様々で、ウスターソースを使わず、醤油味だったりポン酢味だったり、これらのブレンドだったりと様々です。
鉄板でじゅっと焼けるソースの香り、たまりませんよね。日本の洋食を支えるソースは、とてもヘルシーで香り高い調味料なのです。ソース味が好きで、ソース料理好き代表としてソースを記事にまとめてみたら、ソース料理のバリエーションが面白くて記事にしました。もっとソースを料理に活用しましょう。